NPO子どもとメディアによる乳幼児のメディア接触実態調査により、授乳中にテレビやビデオなどを見ているお母さんが80%を超えたことがわかりました。
これは①お母さんがお子さんの顔を見ないで授乳しているか「ながら授乳」をしている、②乳児も長時間テレビのついているところで過ごしており、過剰な音と光の中に置かれているという2点を意味しています。膝の上にお子さんを置いてテレビゲームをしているお父さんの存在も決してまれではありません。
お子さんの顔や目を見ましょう。
1.愛着形成の阻害
日常的なお世話、適切な関わりをていねいに毎日重ねることで、お子さんは親に対し愛着を形成していきます。お母さんがお子さんの顔や目を見ず電子映像画面を見て授乳したり、お子さんにビデオを見せながら反射的にあける口に離乳食を食べさせていないでしょうか?
2.言葉が育たない
やりとりされる言語環境のなかで言葉の貯金をし、双方向性の言語環境が整ってはじめて言語の爆発時期を迎えるというのが言語の発達の道筋です。電子映像画面から、一方通行の音声のなかにいては言語の発達は望めません。
3.視力、立体視が育たない
親御さんが1日中、テレビやビデオを見ていたり、ケータイやネット依存状態になっていると、ほとんど室内で過ごすという生活をお子さんたちは強いられています。そして、電子ベビーシッターに子守をしてもらっている状況では、1日の多くを平面画面と向き合っていることになります。視力の発達にとって乳幼児期の環境は最も大切な時期であり、このような生活が視力・立体視の発達を阻害している可能性があります。
4.体力・運動能力の低下
保育園の5歳児の1日の歩行歩数を調べた調査では、1987年には1日平均1万2000歩でしたが、1993年には8000歩、2000年には約4900歩と激減しています。自分自身の足でヨチヨチ歩き、走るようになるまでに、自分の足を使う時間をメディア漬けで奪われないようにしましょう。
メディアの接触時間は
運動能力にも関わります。
5.生命感覚のゆがみ
現実の生活のなかで、動物を飼ったり生き物の生死に関わることが少なくなっている一方で、4,5歳から相手を殺すゲームに長時間接触していたり、リセットボタンで元どおりになる世界に長時間さらされていることが、子どもたちの生命感覚を歪めている可能性があります。「死んでも買えばいい」「電池を入れ替えたら生き返る」など、大人が予想もしない言葉を発する子どもたちもいます。
あるいは、ニュースで流される残酷な事件も幼い子どもたちの耳にとどいています。
6.生活習慣の乱れ、夜更かし
「早寝・早起き・朝ご飯」を文部科学省が推奨しなければならないほどに、日本の子どもたちは夜更かし型の生活になっています。これもメディア漬けが大きな原因であるといわれています。夜更かし型の大人の生活に巻き込まないように、寝かしつけをしてあげましょう。
7.さらなるメディア漬けに
小学生・中学生のメディア漬けの子どもたちは、乳幼児期にメディア接触がコントロールされていない子どもに多いことがわかっています。乳幼児期のメディア漬けは、その後のメディア漬けにつながっていきます。
参考:小児内科Vol.43 No.5 東京医学社