ケータイについて親子で話し合ってみましょう

子どもの体・こころ・生活への悪影響について考えてみましょう。

  • ●長時間使用による影響

    • 1. 体・心の不調
    • 2. 生活習慣の乱れ
    • 3. 人格形成の歪み
    • 4. 金銭感覚、社会性の麻痺
    • 5. 学業成績の低下
    • 6. ケータイ依存 等
  • ●守る大人の目が届かない

    • 1. 人間関係がこじれる
    • 2. いじめ、中傷をする・される
    • 3. 個人情報を自ら公開する
    • 4. 暴力的な言動がエスカレートする
    • 5. あふれる非行行動に慣れてしまう
  • ●悪い大人や情報との接触

    • 1. ネット犯罪の被害者になる
    • 2. ネット犯罪に加担する
    • 3. 薬物、凶器の入手
    • 4. 売春行動への敷居が低くなる

ケータイ・ネットは大人の社会です。

ケータイ・ネットの世界は、成熟した社会的な力を要求する大人の社会です。人を傷つけた、法律を犯した、金銭トラブル・・・いずれも子どもだけで責任は取れません。必ず保護者が責任を取ることになります。また、「中学校に入ったから」「高校に入ったから」と時期が来たから持たせるものではありません。親子の対話の中で子どもの力を把握し、十分に力が育ったところで持たせるようにしましょう。子どもがケータイ・ネットを使うとき、子どもの力量を判断して適切な規制を加え、指示、指導することが親の責任・権利・義務です。

ケータイを欲しい、と言われたら?

□お子さんは感情的にならずに冷静に話せていますか?
対話の中で「もー、うざい!」などと感情的になるようであれば、まだ早いです。メールや掲示板に感情的になって書き込むと、相手や自分を傷つけます。
□相手が理解できる言葉で説明できていますか?
ケータイは大人の社会です。相手が理解できる言葉で、自分の言いたいことがきちんと伝わるように説明する力が必要です。
□自分と異なる意見(親や先生の意見)をじっくりしっかり聞くことが出来ていますか?
ケータイ・ネットの世界は、膨大な情報を自分本位で選択するため、情報の取捨選択の力が未熟だと、自分の都合の良い情報に偏ってしまいます。また思い違いが起きやすく、人と直接対面しないので、なかなか訂正されません。自分と異なる意見、自分の気持ちに逆らう話をじっくり聞く力が必要です。親や先生の話を聞いて「なるほど、そうなのか」と思える力です。
□ケータイ・ネットを使用する目的・理由、注意することの一覧表を作りましょう。
本来大人の道具であるケータイ・ネットを子どもが使うからにはしっかりとした目的と理由が必要です。使用目的に対して注意することの認識も必要です。表の作成中はじゃまをせず、お子さんに任せて、やりたいと思うことは全部書き出してもらいましょう。表が完成したら1つずつ話し合ってみましょう。

▼ 一覧表の例

やりたいこと 理由・目的 注意する事 必要な機能
友達とのメール AさんBさんとメールで連絡を取りたい。 必要ないときでもメールをしてしまうこと。 メール
音楽ダウンロード 最新の音楽はダウンロードが早い。
聞きたい曲だけ安く買える。
ダウンロードしすぎてお金が掛かりすぎる。 ダウンロード
サイト
  • 「メールがしたい。みんなやってるから」
  • 「みんなやってる、は目的にも理由にもならないよ。もっと具体的に考えた方がいいね」
  • 「一番仲良しのAさんとBさんと遊びや勉強の連絡に使うから」
  • 「それなら目的はわかるね。でもメールでなければならない理由にはなっていないね。」

大切なのは、お子さんの言い分をしっかり聞くことです。
必要性・重要性・危険性に、お子さん自身で気づくことが大切です。

□テレビ・ビデオ・ゲームなどの電子メディア使用時間を、1日2時間以内に3ヶ月以上自分で制限できていますか?
テレビ・ビデオ・ゲームの自己規制ができないうちにケータイを安易に使わせると、簡単に依存状態になってしまいます。
□お子さんが責任能力を自覚し、親に相談できますか?
ケータイを持つことで、社会的責任・法的責任・金銭的責任など様々な責任が掛かってきます。色々な場面を想定して、お子さんに自分自身で取ることができる責任範囲を考えてもらいましょう。自分の責任範囲を越えることは、どんなことでも親に相談しなければならないと気付かせましょう。
□安全な使い方を説明でき、自分が守るルールを提案できますか?
依存も含めたケータイの弊害の内容と、それぞれの対応策をお子さんは知っているでしょうか?とくに、ケータイ依存は、自分で気づかないうちになってしまいます。いったん依存になってしまうと、自分の意思だけではやめられません。どんな使い方であれば自分を守れるか、そのために必要なルールはどんなことか、お子さん側から提案してもらいましょう。

7つをクリアして、ケータイを持たせるとき

  • ●親がトラブルや悪影響に対して100%責任を取ることを決心します。親がそれらからお子さんを守るために100%の権限を持ち、しっかりと使用方法を管理することを宣言します。
  • ●お子さんに占有権を与えません。親の名義で契約し、「このケータイは、親が子どもに貸し出しているものだ」という認識をお子さんに持たせます。
  • ●連絡用に必要という場合、メールやネットはお子さんのリスクを高くするだけです。メールやサイトなどのネット機能を解約して、通話のみの契約にすることもできます。
  • メール、ネットは必ず見守ります。どんなにしっかりしたお子さんでも、いったんはまりだすと脱出不能になるのがケータイの魔力です。適正なレベルの見守り方法を決めましょう。
  • ●フィルタリングはサイトの見守りを補助する機能と考えましょう。健康被害、ケータイ依存、メールからの被害には無力です。

気をつけて

使用料をお子さんに支払わせないようにしましょう。一部でもお子さんに支払わせると所有権が生じます。毎月親子で請求書を見ながら、今月どう使ったか話し合い、金銭感覚を身につけさせ、使いすぎを防ぎましょう。勝手にメールやアドレス帳、履歴を見るのは人権侵害となり、なによりお子さんからの信頼を失います。持たせる際のルールに、これらのことも決めておけば、親の責任として見ることができます。

ルールはお子さんに提案させましょう。

  • ●子どもの意思でルールを提案させ、その意見を尊重しながら話し合って決めましょう。親が決めたルールを守らせようとすると一方的な押し付けにしかなりません。
  • ●親御さんは、「私は~と思う」「私は~が心配」「私は~と感じた」という「私は」を主語にした言い方で意見を伝えるようにしましょう。批判的にならずに真意が伝わりやすくなります。
  • ●お子さんが現実的に守ることができるルールを決めましょう。そしてルールが守られていることを「よく守っているね」と認めてあげて下さいね。
  • ●ルールに必要な項目
    • 1. 使用時間の制限(平日は1時間以内、日曜日は2時間以内を目標に)
    • 2. 使用時間帯の制限(深夜の利用が体調不良、依存、犯罪を招いています)
    • 3. 使用しないときの置き場所(夜は親に返す方法が有効)
    • 4. 決めたルールを「守れないときの約束」は厳格に!

▼ 依存を重症化させないための「守れないときの約束」の例

  • 1. 自分で決めたルールを1回破ったときは、1週間ケータイを親に返し使用禁止。返却時に、夜は親に返す・料金制限をする等ルールの見直しをします。
  • 2. 3ヶ月以内に①が2回あった場合や嘘の報告をした場合は、1ヶ月ケータイを親に返し使用禁止。返却時には依存にならないためのルールを取り入れます。
  • 3. ②で返した後1が1回でもあった場合は、ケータイを解約。連絡用にどうしても必要なら、メール・ネット契約を解約して「通話専用」にします。

メールの見守りについて

見守りは監視ではありません。お子さんの安全確保のためですので、親子で十分に話し合い、お子さんの責任能力を考えて「親の見守りレベル」を決めましょう。

  • 誰とメールをしているか教えてもらい、教えられない相手がある場合は、その理由を話してもらいます。メールの相手先を「アドレス登録者のみ」と設定して、アドレス帳をチェックする方法が良いですね。
  • ●メールが1日何本、どのくらいの時刻に送受信があるか報告してもらいましょう。
  • ●送信メールの内容は、最初のうちは特にチェックをして、「この書き方で相手に正しく伝わるかどうか」を一緒に話し合いましょう。
  • ●メールを送ってくる相手には、「親がときどきメールをチェックすること」を伝えさせましょう。
  • 迷惑メール対策は、受信相手先を限定する設定が有効です。

サイトの見守りについて

サイトはメールと違って原則的に公開された場です。

  • ●友人やクラスのサイトでパスワードが掛かっていないものは、誰でも見ることができます。「みんながやっている」=「誰でも入れる」危険度はむしろ高いので見守りが大切です。
  • ●お子さんが書き込みをしている場合、書き込みの内容は親にも見せられるものでなければなりません。お子さんの書き込みを見て、公開された場での書き込みについて話し合いましょう。
  • ●お子さんが登録しているサイトがある場合は、誰が登録でき、誰が見ることができるものか教えてもらいます。大人が登録して差し支えないものであれば親御さんも登録して、時々のぞいてみましょう。もし、見せられないサイトがあるようなら、理由を教えてもらいます。ネット上の隠し事は、犯罪や依存の危険を背負うことになります。その心配をお子さんに話し、できるだけネット上での隠し事を作らないように話し合いましょう。
  • ●占いや懸賞サイト、無料ゲームサイトなどの登録は、個人情報が流出する危険があります。
  • ブログ・プロフ・日記等、自分のことを書くサイトには必ずパスワードをかけましょう。不特定多数が出入りすると、個人情報の流出・詐欺・いじめや誹謗中傷などの危険があります。また、親に見せられない内容なら、公開するべきものであるか考えてもらいましょう。
  • メールや掲示板のやり取りでは、ちょっとした言葉の行き違いで誤解が生まれ、人間関係のトラブルが起きます。トラブルが起きた場合は、やり取りを直ちにやめ、冷静に話を聞くことのできる大人に間に入ってもらい、直接会うか電話で話し合うようにしましょう。
ケータイのメールやサイトの見守りは、お子さんを直接的なネットいじめから確実に守ることができます。また、クラスのネットいじめやケータイの使いすぎ抑止効果もあります。チェーンメールや詐欺サイトに引っかかったとき、すぐに親に相談してくれるような親子関係が大切です。「うちの親って、意外と話を聞いてくれるんだ♪」お子さんがこのように感じてくれれば、本当に困ったときに必ず相談してくれますね。この関係はケータイ・ネットの問題だけではなく、これからいろいろと遭遇するであろうトラブル対応の基礎にもなります。親子の対話で、便利なケータイを上手に利用したいですね。

資料:NPO法人 親子の対話によるケータイ対応マニュアルより